チーム力 組織力 向上

組織力、チーム力の向上が企業にとって永遠の課題であることは言うまでもありません。しかし、そのための取り組みは経営者や管理職の経験則に依存し、不幸にもその取り組みそのものが組織力やチーム力を生み出すことの妨げになっていることがあります。
チーム力を生み出すための方法。これがチームビルディングという手法です。そこには原理原則があります。そのことをしっかり学び実践できれば、高いチーム力を手にすることができます。

これから、そのチームビルディングの一端についてお話していくことにしましょう。

■組織とチームの違い
これからチームビルディングについての話しを進めるに当たり、ここで使用される言葉について共有したいことがあります。私達が使用するチームビルディングの言葉には一般の解釈とは異なるものが幾つかあります。
例えば、「組織」は硬直したパフォーマンスが低い集団を表す場合に使用します。また、「上司」「部下」は上下関係やポジションパワーなどのチーム創りにとってはネガティブな意味を持つ関係性を表すときに使用します。逆に「チーム」は活性化したパフォーマンスが高い集団を表し、「リーダー」「メンバー」は役割の違いによって生まれるもので、リーダーシップを発揮するものがリーダー(肩書きではない)と呼ぶことを意味しています。

そして、「組織」と「チーム」の違いと現状組織の課題を鮮明化するために下記に示す「8つの要素」を評価軸として設定しています。

【8つの要素】
1.チーム意識
2.安全な場
3.信頼関係
4.自信と本気
5.チーム目標達成への貢献意欲
6.当事者意識
7.リーダーシップ
8.ミッション/ビジョン

では、この8つの要素によって「組織:硬直したパフォーマンスが低い集団」の状態を浮き彫りにすると共に、なぜそのような状態に陥いるのかを考えていくことにします。
まずは、「組織」の8つの要素を具体的な組織状態に置き換えてみます。

【組織】
①チーム意識:個人主義が強く横の連携がない
②安全な場:上司や影響力を持つ者の顔色を伺う
③信頼関係:自己防衛的/排他的な言動や行動が多い
④自信と本気:設定された目標を高いと感じ、諦めややらされ感が強い
⑤チーム目標達成への貢献意欲:改善提案やアイデアなどがほとんど出ない
⑥当事者意識:全てにおいて誰かが何とかするだろうという傾向が強い
⑦リーダーシップ:すべての意思決定をリーダーに依存している
⑧ミッション/ビジョン:ミッションやビジョンは形だけで、何の効力も持っていない

同様にこの8つの要素を「チーム:活性化したパフォーマンスが高い集団」のチーム状態次に示します。

【チーム】
①チーム意識:チーム意識が強く、全員が協力して業務が行われている
②安全な場:職位、経験に関係なく、本音が言える
③信頼関係:良いことも悪いことも開示され、どんなことでも受け入れる関係性がある
④自信と本気:設定された目標を妥当と感じ、達成意欲は極めて高い
⑤チーム目標達成への貢献意欲:メンバー全員からさまざまな改善提案やアイデアが出される
⑥当事者意識:自分自身で出来ることを探し、当事者意識をもって進める
⑦リーダーシップ:リーダーシップはチーム全員が共有している
⑧ミッション/ビジョン:チーム全員がミッションやビジョンにコミットし仕事として体現している

このように「組織」と「チーム」の違いを明確にすることで、私達が所属している集団が組織に近い状態なのかチームに近い状態なのか分かり、どこに課題があるのかを鮮明にすることができます。

さて、ここからは上記で示した組織の特徴(状態)がなぜ生まれるのかについて考え、逆説的にチームになるための課題について深めていきたいと思います。

■組織力が創り出すもの
一般に「組織力」という言葉は団結した集団が生み出す大きな力を指しています。しかし、組織力そのものの定義は曖昧で、組織力がどのようにして創られるのかについても未だに謎のままです。言うなれば私たちは「組織力」というまぼろしを探していると言えるのではないでしょうか。
ここでは、私達の考え方に基づいた「組織が創り出すもの=組織力」について解説していきます。

①個人主義が強く横の連携がない
このような協調性のない個の集団は、個と個の間に摩擦を生み出し、相互のマインドを冷やし合う傾向が強く現れます。
その結果、本来目標達成に使われるべきエネルギーが摩擦に消費され、マインドが冷やされることでモチベーションが低下し、個人としても組織としてもパフォーマンスは著しく低下します。

②上司や影響力を持つ者の顔色を伺う
この状態は組織としての問題解決力の向上を妨げています。上司の意見、特定の部下の意見が常に影響力を持つということは、組織としての発想がワンパターン化してしますことを意味します。結果として柔軟な対応策が生まれない。また、課題に最も近く状況を理解している直接の担当である部下が居るにも関わらず、上司の成功体験や経験則が優先されることで、適切な対応が取れないという状況が起こります。
また、このような状態が続くと自らが考えて行動する部下が居なくなってしまいます。

③自己防衛的/排他的な言動や行動が多い
このような状態は、組織としての一体感や部下間の信頼関係が希薄であることを表しています。これによって個々の部下は自分のやるべき事に線引きし、そこから少しでも外れるものには一切手を出しません。結果として担当間にまたがる業務や新規に対応しなければならない業務が発生しても誰も手をつけず放置されるというトラブルを起こします。
更にこのような状況は部門間でも同様であり、組織が持つ価値観が他の組織との間でもトラブルの原因となります。

④設定された目標を高いと感じ、諦めややらされ感が強い
この状態は組織の持つエネルギー(モチベーションや一体感、信頼感、そして自信や成功体験など)と実力(経験則、スキル、情報、行動力など)が低いことを表しています。一般に目標が高い、低いといった議論がされますが、目標は単なる目的地でありそれが遠いと感じるか近いと感じるかは組織および個人のエネルギーと実力の大きさ次第です。
ここで重要な事はいくら実力があってもエネルギーがなければ、どのような目標でも高いと感じてしまうことです。そして、このような状態を無視して高い目標を設定し続ければ諦めとやらされ感が増大し、さらに状況を悪化させていきます。

⑤改善提案やアイデアなどがほとんど出ない
この状態はこれまでお話してきた要素によって生まれたものです。提案やアイデアは、出せと言われた瞬間に出るものではなく、一つの課題を考え抜いた末に生まれるものです。ですから、そのためには④でお話した集中力を持続するための大きなエネルギーが必須なのです。また、アイデアが生まれたとしても発言する場がなければ考えることをやめてしまいます。そのためには②のお話とも関連しますが、「安全な場」が必要です。安全な場とは非難・否定のない本音が言える場のことです。
さらに、発現する場があったとしても他のメンバーが受け入れてくれない、協力が得られないということであれば提案やアイデアが実行されることはありません。
ですから、活発に提案やアイデアが出される組織を期待するのであれば、①~④の土台をしっかり作っていく必要があることを認識して欲しいのです。

⑥全てにおいて誰かが何とかするだろうという傾向が強い
この状態は「他責」や「当事者意識の欠如」と言う言葉で表現されます。この言葉は上司が部下を叱責するときに用いられることが多いのですが、なぜ、部下の当事者意識が育たないのでしょうか。
とても大雑把な言い方をすれば、部下にこれまでそれを学び実践できる環境が無かったという事です。例えば大酒飲みの父親が息子に対して「お前は酒を飲むな」といったところで全く説得力がありません。同様に組織のトラブルに対して責任を取ろうとしない上司や先輩から「お前には当事者意識が欠如している」と言われたところで全く説得力がないわけです。結論は見習うべきモデルがないという事です。
そして、組織で働いているのですから部下一人に責任が押し付けられること自体問題なのです。これまでの①~⑤の環境があり、見習うべきロールモデルがあることで初めて自分の意志で責任と向き合うという姿勢が育まれるのです。

⑦すべての意思決定をリーダーに依存している
この状態には大きく2つの側面があります。一つはリーダーである上司の価値観と行動に起因するもの。もう一つは、リーダーシップを担う実力を持った部下がいないという育成に起因するものです。
まず、上司の価値観に起因することについてお話すると、上司が権力へのこだわりが強い場合、そして部下を全く信頼していない場合です。これはリーダーの役割とリーダーシップを履き違えています。リーダーは単なる役割であって権力を掌握する立場を示すものではありません。
チーム力は個々のメンバーの自律的行動とメンバー間の協働によって生まれ、高まっていきます。そのためにはリーダーシップ(特定の権限も含む)をメンバーへ委譲し、迅速に課題解決ができるよう支援していくことがリーダーの本質的な役割になります。
リーダーにこれらの役割認識と行動が伴わなければ、リーダー自身がチームの目標達成の阻害要因になってしまいます。

⑧ミッションやビジョンは形だけで、何の効力も持っていない
本来、組織がチームとして機能するために最も基本となる要素がミッションとビジョン(以降、ミッション)です。本来のチームはミッションが求心力となりメンバー間をつなげチームに一体感と一貫した方向性をもたらします。ですから、チームはそのミッションという大きな目的に向かって大きなエネルギーを生み出し、創造的に活動を進めることができるのです。
しかし、一般のビジネス組織はこのミッションへの共感が決定的に欠落しています。結果、一体感のない個人商店の集まりになり、個々の利害によってバラバラに動くことになります。
更に大きな問題はミッションの欠如が、直接チーム活動のパフォーマンスを低下させてしまうことです。本来、仕事(業務)はミッション実現のための手段です。ですから外部環境の変化に合わせてより高い成果を生み出せるように、手段の改善が図られることは当然です。
しかし、ミッションが曖昧な組織では、手段である仕事の遂行が目的となり適切な改善や変革が行われず、外的環境に全く合っていない業務が延々繰り返されます。さらに、新たな問題が発生すると既存の業務をそのままに新たな業務を追加していきます。
結果として業務量だけが増え続け、それに見合う成果は生まれません。
このような状態を改善するには無論、ミッションを鮮明化し共有すれば良いのですが、それがそんなに簡単ではないのです。多くの企業が理念浸透プロジェクトなどを実施し、このような問題に対処していますが多くは掛け声だけで頓挫しています。
ミッションの浸透にはメンバーの社会性や人格そのものの成長が不可欠なのです。社会がどうなろうと自分さえ良ければ良いという人材にミッションを解いたところで、馬の耳に念仏です。
だからこそこれまでお話ししてきた①~⑦の実践を通じて能力だけではなく人格も育むことで本来のミッションを中核としたチームに近づくことができるのです。

以上が8つの要素から観た組織力が生み出すものです。
本来あるべきチーム力が生み出すものや組織がチームに変容するための方法については是非、当協会の学びの中から皆さん自身が気づき、発見してください。本当に活かせる学びとは自分自身で気づいたものでなければならないからです。


カテゴリ:コラム

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