女性の職場活用とチームビルディング

「女性の職場での活用が遅れている」ということは日本の管理職に占める女性の割合が10.6%と欧米の30%~40%と比べるべくもなく明らかです。昨今、国としても数値目標を掲げ職場での女性活用を推進する動きが加速しています。しかし、このような女性管理職の登用が進まないという課題は、日本企業や日本の組織そのものが本質的に持っている多様性や変化に対する保守性があると考えています。

日本企業の中に、今までの体制や考え方を極力変えずに新たな変化に対応しようとする価値観が根付いています。それは、企業規模や業種業態に拘らず。その結果、急激に変化する社会環境への対応が遅れ、本来、企業組織が持っている力が発揮されずに競争力は低下し、活力を失っていくという結果を自らが創り出しています。

女性の職場での活用を軸に考えれば
○自社では、なぜ女性の活用を取り組むのかその目的は明確になっていない
○女性をどのように活用していくのか方向性がはっきりしていない

など、女性活用を進める上でのビジョンや方向性が鮮明になっていない。また、ビジョンや方向性が明示されている場合でも当事者である女性社員自身が共感していない場合があります。これは、女性活用に限った話ではなく、組織力を生み出すための阻害要因として、代表的な課題なのです。「価値観の異なる若手が上手く活用できない」「女性が上手く活用できない」これらは個別の課題ではなく、組織が多様性を活用できていないという旧来型のマネジメントを変革することを求めた警鐘なのです。

ですから、「新人が」「女性が」ではなく、多様な個性や特性をどのように組織として活かすマネジメント、リーダーシップを行っていくかが最も本質的なテーマとなります。処方箋の柱は以下の3つです。

1)当事者を中核とした女性活用のビジョン、ベクトル創り
2)女性を含め多様な価値観をポジティブに活かす職場の雰囲気作り
3)女性リーダーを育成するシステム創りと女性リーダーのロールモデル創り

1)当事者を中核とした女性活用のビジョン、ベクトル創り
ここでお話したいことは、何年も先の大げさなビジョン創りではありません。はっきり言って、3年先、5年先に当てにならないビジョンを掲げられても、誰も信じて進めないほどに私達は様々な裏切り(国や企業、経営者からの)や突発的な災害や事故を経験してきました。ですから、半年先、1年先の具体的な目標と実績がなければ、どのようなテーマであってもモチベーションが生まれないのです。そして、現実的な実感を持たない担当者や経営者が作成した規則を押し付けられても、やはりそれは意味がありません。重要な事は血の通った現実的なロードマップとマイルストーンの設定と実践です。

しかし、ここで充分に気をつけなければならないことがあります。この活動に参加する人達の間に信頼関係と本活動の目標に対するコミットがなく、議論をすすめると多様性とは名ばかりの我侭(単なる一方的な自己主張)に終始し、時間と労力に見合う成果が作り出せないという事です。無論、これはあらゆる問題解決組織に言えることですが、特に前例が乏しい、成功体験が乏しい場合、リーダーシップが機能せず、時間的制約によって結果的に納得感のない無責任な目標に参加者が同意するという現象を生み出します。ですから、チームビルディングなどで良く使い手法としてアクティビティなどを使った協働体験を通じてお互いを理解し、チームとしての一体感を創ってから目標やビジョンに入ることでこのようなリスクを回避することを可能にします。

2)女性を含め多様な価値観をポジティブに活かす職場の雰囲気作り
ここでお話したいことは女性を含め多様性を「差別」「区別」と言った後ろ向きな捉え方ではなく、多様性をブレークスルーや創造性を生み出す源泉として捉えるということです。しかし、多くの皆さんの中には、「それができなくて困ってるんだよ!!」と思っている方もいるのではないでしょうか。そう思っている方はとても正しい認識を持たれている方ですね。実は多くの管理職がこの問題に気づいていない、或は直視できずに問題の原因を部下や女性本人にあると考えている方が少なくないからです。

時代は益々多様になってきます。ですから、この問題はやり過ごすことはできないですし、何も手を打たなけれな(自身の多様性に対する能力向上をしなければ)、この問題から解放されることはないのです。多様性活用のポイントは、Do(やり方)としてのポイントとBe(あり方)としてのポイントがあります。

Doのポイントとしては、
・個々の違いや特性を若いから、経験がないから、女性だからと言った弱みや言い訳の材料にするのではなく、若いからこその視点、経験がないからこその率直な疑問や意見、女性視点での疑問やアイデアといった強みとして認識するための機会を具体的に作ることです。例えば、ミーティングなどで必ず全員が発言する場を設け、どんな事でも感じたことや思ったことを発言してもらいます。発言された内容はどのような事であっても個々の強みから生まれた発言と捉え、しっかり受け止めて活用します。良くやりがちなことは、始めから「馬鹿げた意見だ」とか「現実を知らないからそんなことが言えるんだ」と言った評価はぜずに、まずは何でも言える雰囲気を創ることが先決です。
しかし、これができない管理職が多いんですよね・・・

Beのポイントとしては、
このような機会を設けてもまったく意見が出ない。或は、上司の顔色を見ながら発言するといった状況があります。これは、私達の言葉で「安全な場」がないということを意味しています。「安全な場」とは非難否定の無い本音が言える場のことです。「何を言っても受けいれられない」「結局は上司の一言ですべての結論が決まる」といったことが日常化していては、本音どころか何も発言しなくなりますね。これはチームとしての力をどんどん衰退させていく原因なのです。職場(チーム)の力は多様性(女性を含め)が活用されることで爆発的に高まります。逆に活用されなければ職場(チーム)以前に個々の力の半分も発揮されないのです。このような雰囲気(風土)創りは、正に管理職やリーダーの最も重要な役割の一つと言えます。

3)女性リーダーを育成するシステム創りと女性リーダーのロールモデル創り
ここで重要となるのは人事制度の根幹となる課題の一つである評価と育成です。一般に評価は減点主義的な考え方が強く、一見できていることや能力を査定しているようで、実際はできていないことを浮き彫りにする仕組みになっていないでしょうか。それも多様性ではなく階層や等級といった一律の評価基準によって評価されるために、スポーツなどの得点を取ったものだけが評価され、アシストや守備で能力を発揮しても過小に評価される。そのようなシステムが多様性の活用を阻害しています。また、一律の評価から生まれたリーダー像は、一部の人材タイプ(目標達成が強みの人材)にしか共感を生まず、多くの若者や女性から敬遠される結果を生み出しています。昨今、「管理職になりたくない」「リーダーになるなんて自分には無理」という声が増殖していることは周知の事実です。

このような現象は「がむしゃらに頑張らなければ成果は生まれない」というとても根強い価値観から生まれています。もちろん、この考え方も一つの真理であると思います。しかし、成果の出し方や貢献の仕方も多様なのです。そして、多くのメディアが報道しているように女性活用が促進されている企業の方が業績が良かったり、多様な働き方は女性だけではなく男性社員のモチベーションや職場の活力を高めることに貢献しているのです。

ここでのポイントは、一律なロールモデルを押し付けるのではなく、アシスト、守備といった多様な視点での評価を取り入れ、多様で女性を含め様々な人材が共感できるロールモデルを創り出すことです。これによって、女性がリーダーになるというモチベーションが生まれにくかった風土が改善され、自分の価値観や強みを活かせるリーダー像によって自分の意志によってリーダーを選択する人材が増えてきます。そして、その多様性を活かすことで職場は活性化し、チームとしてのシナジー(相乗効果)が生まれます。この実現のためにリーダーは、チームリーダーシップを学び活かし、本当のチームの力を構築する能力を獲得する必要があるのです。


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