職場環境を改善する上手な聞き方話し方

今日はまず一つの質問からスタートしたいと思います。YESかNOでお答え頂きたいと思います。
「あなたは部下と良好な関係が築けていると思いますか?」
いかがでしょうか?

では次にYESとお答え頂いた方に、もう少し細かく伺いたいと思います。
□あなたは部下の誕生日を知っていますか?
□あなたは部下の家族構成を知っていますか?
□あなたは部下の趣味がわかりますか?
□あなたは部下の好きな食べ物を知っていますか?
□あなたは部下の好きな音楽を知っていますか?

どうでしょう。全てYESのついた方は少ないのではないでしょうか?

あるクライアント先の営業部長に伺ったお話しです。
「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)は機能しているとお考えですか?」とお聞きしたところ
「“報告”については義務付けているので出来ていると思います。ただ“連絡”の頻度は私が考えるより少ないですし、“相談”はほとんどないという状況ですね。まぁ何かあれば何でも言うように伝えていますから、機能している方だと思います。もう少し積極的に話をしてくれるといいんですけどね。」とお答え頂きました。

この事例、確かに部下の積極性に問題があるかもしれません。しかし上司である部長が部下の主体性を奪っているということも考えられるのです。
相談されることがほとんどない、という現実を見たときに部下が上司に対して積極的な関係を求めていないという可能性があることも否めないということです。
するとホウレンソウ本来の機能が果たせているのか疑問が残りますし、実際にこの部長の部下の方にヒアリングさせて頂いたときに上がった声は、「部長がワンマンで意見を言っても最終的には自分のやり方を押し付ける傾向がある。」「どうだ?大丈夫だな?と言われてしまうので、ダメですと答えにくい。」「報告をパソコンに向かったまま聞かれるのが苦痛」というものでした。
部下はこの部長とコミュニケーションが上手く取れていないと感じていた。という実態が明らかになったのです。このケースの場合は上司と部下による双方向のコミュニケーションを改善する必要があるでしょう。
会話はコミュニケーションにおける主たる要素ですから、上手な話し方、上手な聞き方は大切なポイントになることはお分かり頂けると思います。
ではあなたは上手な話し方や上手な聞き方を意識してコミュニケーションをとることがどれくらいあるでしょうか?
この後、そのポイントについて触れていきたいと思います。

上手な話し方ポイント

一般的に話し方については、色々な書物にも述べられていますが、今日は以下の5つのポイントについてお話しさせて頂きます。もちろん、一つ一つはあなたが良くご存じのことだと思います。チームを作っていく土台となる信頼関係。その信頼関係を築く話し方が本当にできているか?普段のご自身の行動と照らし合わせてご確認頂きたいと思います。

1.相手を見て話す
2.平易な言葉をつかう
3.結論から話す
4.例え話を適切に利用する
5.気持ちを込めて話す

1.相手を見て話す

 「私は部下の目をきちんと見て話しが出来ている。」と言い切れますか?自分を見ることなしに話をされてしまうと疎外感を感じたり、見下されているように感じるものです。あなたが話しをするとき、部下はどんな表情で聞いているでしょうか?相手を見て話をすることで、あなたが伝えたいことがどれくらい伝わっているかもわかります。髪型や服装はいつもと同じでしょうか?顔色は如何ですか?興味を持って部下と向かい合うよう心がけましょう。

2.平易な言葉をつかう

 難しい言葉を使っていませんか?
あなたにとっては、当たり前の言葉であっても、聞く側にとって耳慣れない言葉であれば、理解はそこで止まります。上司部下の関係があるので、少々わからなくても頷きながら話を聞くかもしれません。しかし、そのことが要因となり部下との意思疎通に狂いが生じ、チームの成果に影響を与える可能性があるのです。部下が理解できない言葉があった際に「わかりません」と意思表示してくれれば良いのですが、それが出来ないまま進むと、あなたが部下に伝わったと思っていることが実際には伝わっていないのでコミュニケーションが悪化していくのです。
「だから言っただろう!」
「いえ、聞いていません!」というやりとりが起こらないようにする為には、あなたの配慮が必要なのです。
部下の力を最大限に引き出す為にやさしい言葉を選ぶことを意識しましょう。

3.結論から話す

結論を先に伝えることで部下には安心感が生まれます。部下にとって上司とは自分を管理する存在ですから、結論がわからないと何か責められるのではないかという恐れを頂きつつ話を聞くことになります。逆に結論がわかっていれば、どこを修正すればよいのか?別のアイデアを求められているのか?等、積極的に話を聞く姿勢がつくりやすくなります。
受け身の姿勢から能動的な姿勢に切り替えるチャンスは、あなたが話しをするときの手法を変えることからも醸成できるのです。

4.例え話で説明させる

 基本的に部下の理解を促進することが、双方のコミュニケーションを高めます。その為に例え話を有効に使ってみましょう。適切な例え話は部下の理解を深めるだけではありません。上司であるあなたが場面設定をした例えを提供し、部下にその場面での説明をさせるのです。それによって部下の理解がどれだけされているかわかります。

5.気持ちを込めて話す

あなたが部下だったとして、気持ちを込めて話をしてくれる上司と機械的に淡々と話をする上司。どちらの話がより心に残ると思いますか?感情を揺さぶるストーリーに人は感動するのです。いつもより気持ちを込めて話をしてみませんか?そしてその時の部下の変化に意識を向けてください。きっと関係性が変わってくるはずです。

上手な聴き方ポイント

次は聴き方のポイントについて。そもそも人は心を開いていない人に本心を話すことはありませんから、聴くという事は話すことより難しいと言われています。大切なのは、部下が話しをしても大丈夫だという安心できる環境を創ること。部下を最大限尊重するという姿勢が必要です。
前段として“自己開示”によって話しやすい雰囲気を構築していく必要があるでしょう。ご自身の失敗談や恥ずかしい話を積極的に利用しましょう。部下は上司には失敗体験がないと錯覚しています。失敗すると昇進できないと無意識に思い込んでいます。ですからあなたから、積極的に失敗談を話すのです。
失敗が悪いのではなく、失敗から学べないことが悪いという事をメッセージとして伝えましょう。部下が安心して話ができる場があることを前提として、以下の3つのポイントをご覧ください。

1.相手の目を見て聴く
2.話を取り上げずに最後まで聴く
3.聞くのではなく、聴くことに意識を向ける

1.相手の目を見て聴く

 あなたは、パソコンに向かったまま部下の話を聞いていませんか?
人は多かれ少なかれ、自分の存在価値を認めて欲しいという欲求があります。話をしているときに、自分を見てもらえないというのは存在価値を否定されるように感じるのです。目だけではなく、体ごと部下の方を向きましょう。きちんと向きを変えて、顔を見て、「話しを聴こう。」と言われれば部下はきちんと話を聴いてもらえると安心します。

2.話を取り上げずに最後まで聞く

 結論が後回しとなる報告をする部下がいます。その時、イライラして「結論を先に言え!」と言っていませんか?結論を促すこと自体は悪いことではないのですが、その促し方が問題です。話し方の指導をするなら別ですが、そうでない場合は部下がきちんと話し終えるのを待つことが大切です。「だからお前が言いたいのはこういう事だろう!」などと話を取り上げてはいけません。
質問等を織り交ぜながら話を聴いていくと、部下が話し始めるまで沈黙が続くこともあります。こんな時も部下は内省している可能性もありますから、急いたりせずに頷きながら、部下が話し始めるのを待ちましょう。
大丈夫、待ってるよ。という想いを抱いて接することがコツです。

3.聞くのではなく、聴くことに意識を向ける

 「きく」には「聞く(hear/ask)」「訊く(ask)」「聴く(listen)」があると言われます。ここで大切なのは「聴く」ことです。音が聞こえるという感覚器官の現象を意味するのではなく、積極的に相手と向き合うという事が大切です。
あなたはどんな風に話を聞いて欲しいですか?今まで、この人は聞き上手だよな。と感じた人を思い出してください。その人はどんな風にあなたの話を聞いてくれたでしょうか?
心からあなたと向き合い、時には頷き、時には質問を交え、時には言い換えながらあなたの話を理解しようとする姿勢を見せてくれたのではないでしょうか?

ここまで、上手な話し方、上手な聞き方について述べてきましたが最後に質問があります。
以下の質問に10秒程度でお答え頂きたいと思います。

【質問】
あなたにとって本当に大切な人は誰ですか?

いかがでしょうか?
ご家族や友人、身近な存在の方から浮かんでくると思います。

はたして、職場の部下や上司はその中に入っているでしょうか?

テクニックとしての話し方や聞き方の情報は世の中に溢れています。もちろんそれらのテクニックは有益なものでしょう。大切なことは、部下を自分の大切な存在として受け入れること。受け入れているという事を部下に理解してもらうことなのです。
恋愛を思い出してみてください。あなたは意中の人の誕生日や家族構成、趣味や好きな食べ物や音楽が何なのか?興味を持ったはずです。自分に興味を持ってもらうために、共通点を探したことでしょう。時には相手の趣味をご自分でも始めたかもしれません。
そんな想いで部下に接しているでしょうか?私たちは(残念ながら)多くの場合、自分にとって興味のある人(モノも含め)にしか関心がないのです。だからこそ良質な関係をつくるための土台として、相手を大切な存在として受け入れることが必要なのです。
この土台を前提として、上手な話し方や上手な聞き方ができたとき、良質な成果を生み出すコミュニケーションとして機能していくのだと思うのです。


カテゴリ:コラム

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