組織(チーム)とは器です。この器が壊れていたり十分な大きさを持っていないと、どんなに良い人材を採用しても成長せず、どんな仕組みや制度、新知識を導入しても成果に結びつきません。
この状態をチームの「成長不全」と言います。
組織が「成長不全」のままでは優秀であるはずの個人の力も充分に発揮できず、組織力と言われるメンバー間の相乗効果も全く発揮されません。
典型的な「成長不全」の組織の状態は下記の項目の通りです。
- 個人主義が強く横の連携がない
- 上司や影響力を持つものの顔色を伺う
- 自己防衛的/排他的な発言や行動が多い
- 設定された目標を高いと感じ、諦めややらされ感が強い
- 改善提案やアイデアなどはほとんど出ない
- 全てにおいて誰かが何とかするだろうという傾向が強い
- リーダーシップはリーダーが独占しているチームの意思決定が全てリーダーに依存している
- ミッションやビジョンは形だけで、何の効力も持っていない
これらの成長不全状態を健全化し、高い組織力とともに「人材が成長」高い「組織力を発揮」するための手法と取り組みを私たちJTBAでは「チームビルディング」と読んでいます。
このチームビルディングの取り組みによって成長不全の組織が下記の組織状態に変化していきます。
- チーム意識が強く、全員が協力して業務が行われている
- 職位、経験に関係なく、本音が言える
- 良い事も悪いことも開示され、どんなことでも受入れる関係性がある
- 設定された目標を妥当と感じ、達成意欲は極めて高い
- メンバー全員から様々な改善提案やアイデアが出される
- まずは自分自身で出来ることを探し、当事者意識をもって進める
- リーダーシップはチーム全員が共有している自律的且つ協力して目標が達成されている
- チーム全員がミッションやビジョンにコミットし仕事として体現している
これらの変化を組織にもたらす方法は体系化されています。
まず、サーベイによって自部署の組織状態を客観的に把握することができます。簡易診断を用意していますので試してみてください。
そして、チームビルディング手法を具体化したものを講座としてJTBAのチームリーダーカレッジで提供しています。また、専門的に学びたい方のための専門講座も用意されています。
アクティビティを活用したチームビルディングプログラムの特徴
チームビルディングアクティビティとは、問題に直面し、それに対して自己の意志力と行動力でどう適応するかを、体験を通して学習して行動変容を促す機会です。チームビルディングアクティビティのキーワードとして、以下のようなものが挙げられます。
- チームビルディングの必要性
- コミュニケーションの問題
- リスクテイクの戦略
- 創造的な問題解決
- コミットメント
- 信頼関係の構築
- ストレス削減の技術
- 能力開発
期待効果
チームビルディングアクティビティは、一定の時間の中で五感を使いながら目標達成するようデザインされており、他者や環境との関係性の中で、主体的に必要な役割行動を創造できるようになります。
自己をより深く知る
人間は、自分を守るために無意識に「壁」を作ります。しかし、自分を守ろうとする「壁」が、実は自分の成長を阻んでいると実感されたことはないでしょうか?チームビルディングアクティビティは、お互いの信頼関係を築くことによりこの「壁」を下げ、外からの情報を取り込みやすくします。その結果、今まで知らなかった自分を発見することができます。
各自の情報が生かされ、気持ちの交流からチームワークを強くできる
職場でのチームワークは、生産性に大きく影響することは言うまでもありません。メンバーの間にしっかりした信頼が生まれると、お互いにサポートしあう関係を築き上げることができます。その結果、いわゆる「足の引っ張り合い」などのネガティブな状況が減り、職場内の連携がうまく取れるようになります。
課題解決を推進するスピードが高まる
このプログラムの中で行われる課題解決では、どのように問題を整理すれば問題点が見つかり、それをどうすれば解決できるかをチームでリフレクション(ふり返り、内省化すること)します。「何が良かったのか」、そして「何が悪かったのか」。その気付きを通して職場への適用を考えることができます。
目標設定と課題の共有力が高まる
仕事を進める上でも常に行われている目標設定。それを、どのように設定したときに活動の動機付けとして有効に働くかを、体験を通して学ぶことができます。
チャレンジシップが高まる
精神的なプレッシャーや対人関係のストレスは、回避してばかりいては解決できません。逆にストレスとして蓄積されてしまうことにもなります。リスクに立ち向かう「挑戦の姿勢」、「チャレンジ精神」を学ぶことができます。
ラーニングサイクル
プログラムの効果性を高めるための学習の進め方は、以下の通りです。
プログラムを始める前に、簡単な約束をします(コミットメント)。これはお互いを最大限に尊重するという強い約束です。自分を含め、メンバーをけなしたり、軽んじたりしないことにより、人は欲求が充足され、「安心している」と感じられます。
プログラムへの参加は強制ではありません。挑戦への選択の自由は常に保障されています(自分で挑戦することを選ぶ)。個人の挑戦レベルとその方法は、メンバー一人ひとりの選択を尊重することであり、お互いの信頼関係の構築を進めるための基本となります。
その時、その場所で起こっている現実を取り上げ、生きた人間関係の中での、自分の「在り方」に気付きます。
チーム・組織の成長プロセス
第1段階 Forming(形成期)/チームの結成・様子見
- メンバーのことを十分に理解できていない。
- メンバーへの依存度が大きい。「誰かがどうにかするだろう」
- エネルギーはメンバー個人の内側へ向かう。
- リーダーは任命されたリーダーであり、メンバーは指示を期待する。
- 不安や内向性、緊張感が見られる。
第2段階 (混乱期)/意見のぶつかりあい・個人の主張
- 解決に向けての意見、アイディアの表出が見られる。
- メンバーは独立心が芽生える。「私だったらこうするのに」「こうすればいいのに」
- エネルギーはチーム内部の競争に向けられる。力の順位や役割、機能の表出。
- 影響力の大きいリーダーが自然発生的に現れる。(=強いリーダーシップの発揮)
- ビジョンは曖昧で、共有されていない。
第3段階 Norming(標準期)/個人の役割とチームの決まりごとが明確に
- メンバーとしてどのように行動すべきか気付く。
- チームのルール(行動規範)が暗黙のうちに築かれる。
- ゴール(目標)やメンバーの役割、責任範囲が明確になる。
- 「ビジョン」「ルール「仕組み」がチームを拘束する。
第4段階 Transforming(達成期)/能力の発揮と成果達成
- 問題や課題が解決され、成功体験を共有する。
- メンバーに自立心が芽生え、チームに対する帰属意識が高まる。
- リーダーシップを発揮する者がリーダーとなり、任命されたリーダーは形式化する。
- ビジョンや制度は、メンバーの協働意思によって成立している。
- エネルギーは共通のゴールに向かって外に向けられる。
- 他者視点に基づいた行動、言動が一般化し、信頼関係が構築されている。